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アロハ初代指揮者「A」による「アロハの夜明け」

「わしらもバンドでも作ろかぁ〜。『新○吹楽団』って以前遊びでつくったバンドがあったやろ?あれを復活させて、夏やからアロハシャツ着てコンクールに出るっちゅうのはどやっ?うけるでぇ〜。そや、A君、お前が指揮者やれ。」

(現在の)アロハ誕生の経緯は、まぁ大体こんな感じだったと思う。何しろ酒の席でのこと、正確なことは覚えていない。確かに、この話の数年前に、N氏(某プロ演奏家)指揮で新○吹楽団がコンクールに出場したことがある。私が現役大学生の頃だ。それをおもしろおかしく復活させようというのである。我々の仲間内では、いつもYさんの思い付きから何かが始まるのだ。

 指揮の経験などなく、学生時代も『演奏』よりむしろ『宴会』に熱心だった私は、誰よりも指揮者というキャラクターからほど遠い。しかし、「コンクール前にぺぺっと練習して、アロハシャツ着てステージに乗って、後は酒飲むだけやぁ〜」という氏のちゃらんぽらんなお言葉(注1)に、「なるほど、そんなお笑いバンドの指揮者なら私くらいが適任かなぁ」と、ごく軽い気持ちで引き受けたのだった。

 アロハ吹奏楽団(現アロハ合奏団)は、もともと我々の母校であるところの、吹奏楽の某「超」伝統校OBで構成された団体である。現役時代はとにかくこの「超」がつくほどの伝統が、(もちろん誇らしくもあったが)なんとも言えず重たく息苦しいものだった。特にコンクールシーズンのプレッシャーは凄まじかった。結果がすべてと言われても、もちろん音楽の世界はスポーツのような明確な基準で勝ち負けが決められるわけではない。外野から「勝って当然」とハッパをかけられながら、一体我々は誰のために何のために音楽をしているのか見失うこともあった。

「我々をさんざん苦しめてきたコンクールを、今度は逆に笑ってやろう!」
というこの企画に乗り気だったのは私だけではなかったようで、アロハはスタート時から盛況だった。真面目な優等生が大人になってグレたようなものである。みんなウキウキとアロハシャツを、女性はハイビスカスのレイやアクセサリーを探しに出かけたものだ。

「楽器ケース開けるの何年ぶりやろ」
という怪しいメンバーたちによる初合奏、さてどうなることやら・・・しかし最初の一音が出た瞬間、正直言って私は感動してしまった。うまい。さすが大学4年間アホみたいに楽器ばっかり吹いていただけあるなぁ。よく見ると、我が母校の栄光の歴史に燦然と輝くスタープレイヤーがあちらこちらに座っている(注2)。私ごときが前で棒を振っていていいのか?とふと我にかえり、ちょっと緊張してしまったほどだ。
  
 確かにうまいことはうまいのだが(注3)、さすがにザツである。こんなふざけた格好をしてへたくそな演奏をすることほど恥ずかしいことはない。私の拙い棒でチョコチョコと交通整理をして、何とか体裁を整えた。何しろ練習時間がないので、ほとんどメンバーの実力頼みである。
 
 そしてついに迎えた初コンクール当日!忘れもしない、え〜とあれはどこだったっけか、高速に乗ってはるばる某ホールまでやってきた。アロハシャツが数十人集まると、まぁ目立つこと目立つこと!メンバーはまあいい、集団でいると目立つのもさぞ快感だろう。指揮者の私はというと、極彩色のアロハシャツに真っ赤なハイビスカスのレイを首からかけ、ちびた指揮棒をいじくりまわしながら<指揮者控室>でひとり小さくなっていた。他団体の指揮者は重鎮ぞろい、その貫禄十分のタキシード達の中で。

 さて我々の出番が来た。舞台に入っただけで客席からざわめきが聞こえる。ライトがついた瞬間、それがどよめきに変わった。そりゃそうだろう、白と黒が支配するモノトーンのコンクールステージにいきなりあらわれた色の洪水!それぞれのコスチュームにはハワイアンテイストの工夫がされ、ご丁寧に譜面隠しの紙までパートごとに色を違えてレインボーカラーにするという凝りようだ。

吹奏楽界初(?)のビジュアル系バンド「アロハ吹奏楽団」のデビューである。

 演奏の出来もメンバー内では大満足!メンバーはみんなすっかり気分が高揚して、おとなになってもこんなに楽しいことがあるなんて信じられない!と目をキラキラさせていた。 

 「音楽って素晴らしい」
こんなあたりまえのことを心から素直に言いたい気持ちになる、アロハはそんなバンドであった。このときの快感が忘れられず、現在も私は某高校吹奏楽部で指揮棒を振っている。残念ながら私は仕事の都合でアロハから離れてしまって久しいが、あの当時のアロハスピリットが今でも生き続けてくれていることを願う。


 
アロハ初代指揮者 A
(ゴーストライター その嫁)

 
 
注1:
現在の心境は当時とは少々異なる。
注2:
今から考えれば、それほど「たいそうな」ものではない。
注3:
重ねて言うが、「うまい」とは言うには、少々はばかるところがある。


 
 
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