アロハ合奏団2024年夏公演第一部より「7月4日に生まれて」楽曲紹介

演奏曲の紹介♪

映画「7月4日に生まれて」について

ベトナム戦争に従軍し後に反戦活動家となるロン・コーヴィック氏の自伝小説を、同じく従軍経験のあるオリバー・ストーン氏の監督、トム・クルーズ主演で映画化した作品です(1989年公開)。

国のために戦う事を信じて疑わなかった主人公ロンが、戦地ベトナムで民間人を攻撃してしまったり、部下を誤って射殺してしまい、自身も半身不随となり車椅子の状態で除隊されます。

失意のうちに戻ったアメリカでは、反戦を掲げる学生運動に対して、最初は強烈に嫌悪感をあらわにしていたロンでしたが、やがて同じように除隊した人の「この戦争は間違っている」という発言から、自らも反戦運動に駆り立てられて、やがて多くの人が彼の活動を支援します。

主人公を熱演した当時20代のトム・クルーズは、よりリアリティを持って演じるために、約一年間車椅子での生活を送ったと伝えられます。それから40年たった今でも、彼のスタンスは、スタントをほとんど使わないといった姿勢にも表れています。

オリバー・ストーン監督とジョン・ウィリアムズ氏

「社会派」と言われるオリバー・ストーン監督は、ベトナム戦争を題材に本作のほか出世作となった「プラトーン(1986年公開)」や「天と地(1993年公開)」を監督・製作しています。そして「プラトーン」「7月4日に生まれて」でアカデミー監督賞も2度も受賞しています。

J・ウィリアムズ氏がO・ストーン監督を評して「今まで付き合ってきたハリウッドのどの監督とも違う『極めて異質な』存在で、とても『力』を感じる、それでいて様々な技術を持ち合わせて、将来も彼と仕事をしたいと感じる監督」と語っています。

この「7月4日に生まれて」が彼らの最初のコラボレーションですが、その後「JFK(1991年公開)」「ニクソン(1995年公開)」でも共同作業しており、やはりお互いの才能に惹かれあったのだろうと想像します。

「7月4日に生まれて」のテーマ音楽

映画冒頭から用いられる、物悲しくも印象的なトランペットソロの部分。そして、揺るぎのない重厚な弦楽合奏の部分との対比がメッセージ性の強い一つの楽曲としてまとめられました。

オーケストラの編成は弦楽合奏にソロ・トランペット、少数の金管楽器(ホルン3人とチューバ)、ティンパニという制限されたものですが、原作者ロン・コーヴィック氏の苦悩と、それを打ち破る意志の強さを表現したような感情豊かな音楽です。

この映画のサウンドトラックでは、オーケストラはハリウッドのスタジオミュージシャンですが、トランペットソロだけは当時ボストン・ポップス・オーケストラの首席トランペット奏者、ティム・モリソン氏を起用しています。

これ以降近年まで、J・ウィリアムズ作品のサウンドトラックの首席トランペットはずっとティム・モリソン氏が務めていました。我々が聴くあの「ジョン・ウィリアムズ」サウンドはモリソン氏が奏でる音色が大変重要な役割を担っていたのです。

2024年コンサートで演奏するにあたって

今回の公演は、当初2020年に開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期となり、この度ようやく開催できる事となりました。

しかしその間に日本では、今年の能登半島地震を始めとする災害を度々経験し、世界に目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの紛争や、その他各地でも争いは絶え間なく続いています。

アロハ合奏団は、今なお困難な状況に置かれている人々に対して、この「7月4日に生まれて」の演奏をもって、祈りを捧げさたいと思っております。

アロハ合奏団2024年夏公演6月30日(日)あましんアルカイックホールにて17時30分開演!チケットはteketにて発売中

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