「ハリー・ポッター」シリーズとジョン・ウィリアムズ
「ハリー・ポッター」シリーズは、もはや全世界で読まれている児童文学であり、映画・舞台・テーマパークなど様々な媒体となって、多くの人々を楽しませている作品です。
イギリスにあるという設定の「ホグワーツ魔法学校」で学ぶ「ハリー」たち同級生3人の成長と活躍、彼らをとりまく学校の先生たちや生徒たちとの複雑な関係、そしてハリー自身の宿敵との対決などを軸に物語は進んでいきます。
日本でも、今年10周年を迎えたUSJ「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」や、元としまえんの「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京」へ行ったことのある方、テレビCMをご覧になった方は多いかと思います。
映画第1作(2001年公開)から第3作(2004年公開)までは、ジョン・ウィリアムズ氏が音楽を担当しています。原作の大ファンであるお孫さんから「本を読んで」と勧められて、このシリーズのテーマ音楽と言える、あのチェレスタで始まる「ヘドウィグのテーマ」が作られるのです。
「ハリー・ポッター アズカバンの囚人」ハリーの成長と劇中音楽の効果
物語の3作目にあたる「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は、ハリーたちの魔法学校の3年目を描いています。第1・2作の映画は、「ホーム・アローン」「ホーム・アローン2」でもメガホンをとったクリス・コロンバス氏が監督を担当しましたが、この第3作はアルフォンソ・キュアロン氏(後に「ゼロ・グラヴィティ」「ローマ」の2作でアカデミー監督賞を受賞)に代わっています。
「ハリー・ポッター」では、主人公たちがどんどん成長する中で、1年目の子供時代にはなかったような不安、恐れ、怒り、悲しみなどの感情が多く表現されてきます。また、やがてハリーが運命的な宿敵と対決をしなければならないので、物語の情景はどんどん暗いトーンになっていきます。この映画第3作も、キュアロン監督ならではのダークで現代的な表現や特殊効果が多くの方の評価を得ています。
マージおばさんのワルツ、元ネタはロッシーニ?
両親を亡くした孤児であるハリーは、魔法学校が夏休みのため、おじさん一家「ダーズリ家」に預けられていますが、彼はそこでほぼ使用人のような扱いを受けています。そこに、おじさんの姉である「マージおばさん」が来訪し、ハリーに対してこれまたひどい言葉を投げかけます。
そして、感情の抑制が効かなくなったハリーがマージおばさんに怒りの魔法をかけると、おばさんの体が風船のように膨らんでいくシーンで、このユーモラスなワルツが始まります。
ジョン・ウィリアムズ節の一つでもある、不思議なオーボエの旋律から始まるこのワルツ、実はロッシーニのオペラ「泥棒かささぎ」序曲の有名な中間部のワルツの気分にとても似せています。恐らくJ・ウィリアムズ氏が茶目っ気たっぷりに、パロディとしてクラシックの名曲を想起させる音楽を作ったと思われます。
マージおばさんの体がどんどん膨らんでいくのにつれて、音楽もどんどん盛り上がっていく様子は、まさにロッシーニのオペラ序曲がフィナーレに向かってテンポアップするのと同じです。最後に一瞬「あっかんべー」のように不協和音を鳴らして終了!です。
気球になって空に飛ばされるマージおばさん、そして周りのダーズリー家はドタバタ劇を繰り広げます。この映画シリーズがこれからダークなトーンになっていく中では、そう多くない楽しいシーンとして、この短いワルツの音楽がとてもマッチしています。
アロハ合奏団とハリー・ポッターシリーズ
アロハ合奏団は2018年に「ハリー・ポッター特集」での公演を行いました。その際は、舞台上のオーケストラ全員がホグワーツ魔法学校の制服を着用して演奏し、楽器ごとに4つの寮(グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン)が分けられ、見た目も壮観だったと思います。
指揮者=ヤマトススムは、冷徹で厳格な事で知られる「スネイプ教授」になりきって、ホグワーツの生徒たち=演奏者を魔力と恐怖で操って率いました。私たちとしては、再び「ハリーポッター」を再演して皆様にお届けできればと思っております!
アロハ合奏団2024年夏公演6月30日(日)あましんアルカイックホールにて17時30分開演!チケットはteketにて発売中
コメント