アロハ合奏団2024年夏公演第1部より「イーストウィックの魔女たち」より「悪魔の踊り」楽曲紹介

演奏曲の紹介♪

映画「イーストウィックの魔女たち」ホラーでブラックなラブコメディ!

原作はピューリッツァー賞を2度も受賞した、ジョン・アップダイク氏の同名小説です。これを、あの「マッドマックス」シリーズのジョージ・ミラー氏が監督を務めると、ホラーともブラックなラブコメディーとも言える奇想天外な映画が作られました(1987年公開)。後にミュージカルとしても上演されています。

所はアメリカ・ニューイングランドの田舎町。実は魔女の能力を持つ彫刻家・チェロ奏者で音楽教師・ジャーナリストという仲良し三人組(みんな夫と死別・別居・離婚)の前に、よそ者ながら豪邸の持ち主の悪魔の男が現れて3人をたぶらかします。しかし最後は悪魔の男は魔女たちに見事に仕返しをされるという物語です。

標題の魔女たちはシェールスーザン・サランドンミシェル・ファイファーという名女優たちが演じます。彼女たちのものすごい妖艶さに対して、悪魔役のジャック・ニコルソンの期待を裏切らない怪演が、お世辞にも品が良いとは言えないこの映画を盛り立てます。

映画をご覧になっていない方は、いったいどういう映画なのか見当がつかないと思いますが…映画前半の三人の女性の会話は、家族で観る時には字幕を消したくなるような下ネタのオンパレード、映画後半はスペクタクルな嘔吐シーンの連続などなど、ジョージ・ミラー監督のやりたい放題にあっけにとられる事、間違いなしです!

劇中で使用されるクラシック音楽の数々

ジョン・ウィリアムズ氏の作曲ではありませんが、映画ではクラシックの名曲が面白い使われ方をしています。

ジャック・ニコルソン演じる悪魔は、豪邸にピアノを何台も所有して、自身はヴァイオリンの名手という設定。スーザン・サランドン演じるチェロ奏者はドヴォルザーク作曲「チェロ協奏曲」第1楽章を自宅で練習しますが、どうしても上手く弾けません。

すると悪魔は彼女を誘惑するために、彼女の自宅に現れ、パガニーニ作曲「24の奇想曲(カプリース)」第16番の終盤を見事に弾きます。それを目の前で聴いたスーザン・サランドンは、すっかり彼に魅了されます。

悪魔の巧みな「言葉攻め」とダイナミックなピアノ伴奏で、弾けなかった協奏曲の第1楽章を燃え上がるように演奏し、激しく愛し合います(本当にチェロから火が出ます)。ドヴォルザークの音楽の絶頂と映像が何とも下品にマッチした稀有な例です。

難点は、一度この映画を見たら最後、この音楽(通称「ドヴォコン」)を演奏したり聴いたりすると、どうしても脳裏に映像が浮かんでしまうことです。雑念が入ってしまって仕方がありません。

他にも、結局豪邸に女性たち3人が悪魔と楽しくたわむれるシーンでは、プッチーニ作曲のオペラ「トゥーランドット」の有名なアリア「誰も寝てはならぬ」が流れます。パヴァロッティの高らかな歌唱が、みだらに陶酔した場面にはピッタリです。いやはや。。

ジョン・ウィリアムズによるテーマ曲「悪魔の踊り」

映画冒頭から流れるそよ風を感じるような軽やかなメロディーは、ジョン・ウィリアムズ氏の手によるもので、この映画がまさかこんなブラックな事になるとは想像もつきません。

最終的にエンドクレジットで流れる「悪魔の踊り」ですが、映画冒頭と同じメロディーなのにとても毒々しいものに感じられます。まるでベルリオーズ「幻想交響曲」のライトモチーフ(繰り返し使われる主題)が、同じメロディーなのに楽章で全く印象が変わるのと同じです。

悪魔役ジャック・ニコルソンが弾くパガニーニ自体が「悪魔に魂を売った」と言われるぐらいヴァイオリンの名手だったことに関連して、この音楽でもヴァイオリンを中心とした弦楽器が、さしずめ狂乱したように弾きまくる部分が印象的です。

また、映画本編では電子楽器を使ったキャッチ―な音色も目立ちますが、この楽曲も負けず劣らず、普通のオーケストラ曲では聴いた事がないような「変わった音」がみどころです。何と、雷を模した音まで登場して、この音楽は狂乱の中終了まで突き進みます。

穏やかな紳士であるジョン・ウィリアムズ氏の音楽は、少々品の良さも残しつつも、おどろおどろしい奇抜な音色や雷の音で「悪魔のダンス」を踊ります。

アロハ合奏団2024年夏公演6月30日(日)あましんアルカイックホールにて17時30分開演!チケットはteketにて発売中

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