1993年6月9日にとり行われた皇太子親王殿下と雅子様(現天皇皇后両陛下)のご成婚を祝して作曲され、ボストン・ポップス・オーケストラの来日公演の最終日(6月21日・昭和女子大学人見記念講堂)に、当時常任指揮者ジョン・ウィリアムズ氏自身の指揮で初演されました。
原題「Sound The Bells!(鐘を鳴らして!)」を持つこの楽曲ですが、作曲者ご本人によると、かねてから日本の寺院の大きな「鐘」に興味があったとの事。日本風の音楽を書くわけではないけれども、ご成婚の機会に恵まれて、鐘の音の存在感のように、力強さを持ったイメージのファンファーレとして作り上げたとの事です。
この来日の初演時は金管楽器と打楽器のみの楽曲として作曲されましたが、後に編成をフルオーケストラにし、音楽の内容も拡充したバージョンを、今回6月30日のステージで演奏いたします。
音楽の冒頭は、まさに鐘をたたいているようなトランペットのD音(レの音)の連打に、チューブラーベル・グロッケンシュピール・ヴィブラフォンという音律のある打楽器、そしてハープ・ピアノと弦楽器が響きを重ねて始まります。
その後「鐘の連打」は色々な楽器に広がりますが、突如ホルンと木管楽器で奏でられる流れるようなメロディーが登場、やがてそのメロディーもカノン(輪唱)で折り重なり、オーケストラ中に様々な響きが満ちあふれて、作曲者の意図のとおり、力強く音楽を閉じます。
3分未満の短く明るい楽曲ですが、ソリスティックなチューブラーベルを中心にずっと動き回る打楽器や、難易度の高いフレーズが淡々と続く金管楽器など、J・ウィリアムズ氏がオーケストラに求めているメッセージを感じて、私たちは喜んで演奏でお返ししたいものです。
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